「数字に弱いとビジネスで損だよなぁ…」と、ぼやいている人が思わず手に取ってしまうかもしれないのが、小宮 一慶先生のご著書「ビジネスマンのための「数字力」養成講座」です。

ビジネスに必要な数字力とは

数字力というのは小宮先生の造語だと思いますが、

  • 把握力:全体を把握する力
  • 具体化力:具体的に物事を考える力(これは発想力にもつながります)
  • 目標達成力:目標を達成する力

からなるとのこと。しかも、これらをマスターした結果、説得力も増すと著者の小宮 一慶先生は説きます。たとえば、東海道新幹線に乗っているとして、

「熱海-小田原間はトンネルが多い」

と言うよりも、

「熱海-小田原間はトンネルが10ある」

と言う方が、具体性があり、結果として説得力があるとのこと。

これに関しては、事実と意見という観点で整理しても良いかもしれません。後者の「トンネルが10ある」というのは事実に対し、「それが多いか少ないか」を述べているのは、話し手の意見と捉えるのでも良いでしょう。したがって、数字力というのは「事実を押さえる力である」と言い換えてもよいのかと思いました。

数字力を阻害する六つの罠

ビジネスにおいては大事なはずの数字力、これを身に付けるのを阻害する六つの罠があると著者の小宮 一慶先生は説きます。それが下記です。

  • 主観の罠
  • 見え方の罠
  • 常識の罠
  • 統計の罠
  • 名前の罠
  • 思い込みの罠

この中から、「主観の罠」を詳しく見てみましょう。これは、

  1. わたしたちは、数字を主観的に、自分なりの感覚で見ている
  2. その感覚は、それまでの経験・見聞の範囲内のものとなる
  3. したがって、経験・見聞を広げることによって、数字感覚が磨かれる
  4. 日頃から数字に注意し、自分の感覚と比べながら、ものを見ていこう

と言う提言が結論としてあげられています。そして、主観の罠としては、高級腕時計ロレックスの話が披露されます。

一口に「ロレックス」と言っても実は値段はピンキリだそうで、安いものは50万円ぐらいから、高いものになると200万円になるのだとか。ところが、これは通常品。「アンティーク」と呼ばれるレアものになると、1億円のものがあるそうです。

この1億円のロレックスを腕につけた人は、決まって、

1億円は無理でも200万円のロレックスなら買う気になった

と言うそうです。通常であれば200万円の腕時計は相当高いものですが、コントラスト<対比>のマジックにより安く思えてしまったと言うこと。まさに主観の罠に陥っているのでしょう。

  • ビジネスマンのための数字力養成講座目次
  • 第1章 「数字力」で世の中の見え方が変わる
  • 第2章 数字の見方7つの基本
  • 第3章 数字力を阻害する6つの罠
  • 第4章 数字力が高まる5つの習慣
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