誰一人としてここまで下がるとは思ってもみなかった株価…

  こんなときこそ、真剣に思います。「あぁ、債券にも投資をしていて良かったなぁ」、と。

  え?サイケン?なんじゃそりゃ?と言う人、気をつけて。投資初心者が陥りがちなワナを「大罪」と言うキーワードでまとめたこの連載、第6の大罪「過度のリスクをとる」にハマってしまっているかもしれません。

  「債権」というのは、ごく簡単に言ってしまえば会社の借用証書が市場で取り引きされているもの。なにせ本質が「借用証書」なものだから、「いつまでにいくら返します」がハッキリきまっているので市場で取り引きされるときにも大きく値崩れはしません。この意味では、投資家の思惑によって値段が乱高下することもある株とは、同じ投資先と言ってもずいぶん違いますね。

  ただ、その分だけ株よりもリターンが少なくなってしまうのがイタいところ。代表的な債権である国債の利回り、現時点では1%チョイしかなくって、投資と言うよりちょっと有利な銀行預金ぐらいに感じてしまいます。もっとも、そのわりには多少とはいえ値段の変動があって元本確保されてないし…なんか、損?

  実際、株価が上昇基調のときには、債券に投資をしているとバカらしくなってきます。投資を始めて1年後の成績を見ると、株に比べて債権に投資したお金の増え方はごくごくわずか。

  「やっぱりお金を効率的に運用するためには株なんだなぁ」

  と誘惑に負けて資金を移動してしまったら…これが実は運の尽き。自分が十分以上のリスクをとってしまっていたことに、株価の下落の痛みではじめて気がかされます。

  じゃあどうしたらいいの?、という誘惑に弱い初心者を守ってくれる「魂の救済」が、「アセット・アロケーション」という考え方。日本語で言うと「資産配分」となりますが、要するに、「自分のお金の何パーセントを株で、何パーセントを債券で運用するか『事前に』決めておく」ことが大事なのです。

  この「事前に」と言うところがミソで、例えどんな相場環境であったとしても、事前に立てた「目標アセット・アロケーション」を維持することにより過度のリスクをとることを避けることができるのです。

  ということで、第6回のまとめ。

  投資初心者第6の大罪:過度のリスクをとる
  大罪を浄化する魂の救済:目標アセット・アロケーションを決めて債券にも投資をする