週刊ダイヤモンドの2018年8/11・18合併特大号は、「決算書100本ノック」という刺激的なタイトルです。さっそくその中身をチェックしてみましょう。ちなみに、ダイヤモンド・オンラインでは、連動企画として「決算書100本ノック」の特設コーナーを設置とのこと。そちらとあわせて読むと、理解が深まりそうです。

会計を知らないという致命傷

Part1の「まずは基本!」というパートでは、そもそもなぜ決算書読解術が必要なのかが解説されています。ミクシィの元社長で「ファイナンス思考」などの著書もある朝倉祐介さんのセリフが印象的で、

働く人が”財務を全く分からない”というのは、プロサッカー選手がサッカーのルールを知らないのと同じ

とのこと。たしかにこれじゃ、仕事になりません。というか、オウンゴールとかでかえって味方の邪魔をしたりして。

その理由として、今のように経済が停滞すると、

近年は投資家の目は厳しくなるばかりで、売上高の拡大よりも、利益とその中身、効率性など”質”が重視されるようになっているのだ。

というのが挙げられています。

役職によって異なる会計の知識

ちょっと面白いのは、企業へのアンケートからは、一口に財務や会計といっても役職によって求められるものが異なってくるのが見えてくるところ。

社員には会計・ファイナンスの知識をどれぐらい理解していて欲しいですか?

という質問に対し、たとえば対象となる社員が課長の場合には、ROEやROAなど、財務3表上の数値を組み合わせた指標が一番求められています(全回答の41%)。このほかに、「財務3表」の理解も求めラテいますから、課長職であれば最低でも財務3表と指標分析が求められているということでしょう。

一方で、役員クラスの人材に求めるのは、圧倒的に「ファイナンスの概念や投資の評価方法」です(84%)。逆に、課長に求められる「財務3表」は、わずか13%まで下がっています。

必要なのは会計を読解する力

これを踏まえた上で、この特集号の面白いのは、

多くの人にとって経理部に配属されない限りは、財務3表を「作る」能力は必要なく、

と割り切っているところです。むしろ大事なのは、「読解」であると。できあがったものを使いこなせればそれで十分という立場は納得です。

先ほどの役員に求められるファイナンスの概念も、別にネットプレゼント・バリューやIRRが必要では無く、「そもそも、何を持って投資のゴーサインを出せるのか」ということなのでしょう。